母のおもしろエピソード ~その1~
実家の荷物を整理していたら
使わなくなった辞書が出てきた
「国語辞典」
「英和辞典」
「漢和辞典」
受験勉強してたのは
かれこれ20年以上も前、、
「 懐かしいな~ 」
とパラパラページをめくると
マーカーで線が引かれてある
真面目に勉強してたんだなー
と微かな記憶を思い出した
受験勉強以外にも
辞書には思い出があって
母校では
ESS(English Speaking Society)
という英語オンリーの授業があった
高校1年か2年のとき
ESSでグループに分かれて
英語の劇を発表するという
授業があった
ちゃんと衣装も着て
舞台で本格的な劇をする
何週間か練習して
劇の出来で成績が決まる
発表当日、
学校に着いてから
衣装を忘れたことに気がついた
衣装を家の玄関に置いたまま
忘れてしまった、、
慌てて学校の公衆電話から
家にいる母に電話をかけて
「 玄関に英語の授業で使う
衣装が置いてあるから
急いで持ってきて!」
と母に学校まで衣装を届けてもらおうとした
家から学校までは
電車に乗って30分
駅から歩いて10分以上
緩い坂を登る
母にはキツイけど
それしか方法はなく
母を校門の前で待った
電話してから50分くらい経って
息を切らした母が学校に着いた
駅から小走りで来たようだ
「 ごめん、ごめん、
お母さん、ありがとう!」
と母にかけ寄る
母は紙袋を私に差し出す
母が持つ紙袋を見ると
『 ん?なんだか紙袋が重そうだな 』
手渡されて受け取ると
ズッし っと
あきらかに衣装ではない重さ、、
紙袋をバッとあけて
中をのぞくと、、
本だらけ
見るといっぱいの 辞書!!
私「 え〜っ、なんで辞書なのぉ〜 」
母「 なによ、あなた電話で『辞書』って
言ったじゃない!」
私「 言ってないよ!
い、しょ、う って言ったんだよ!!」
とキレてしまった、、
母は凄く悲しそうにしていた
忘れた私が悪いのに
当時の私は幼くて
「いしょう」を「じしょ」に
聞き間違えた母を責めてしまった、、
「 もういい!間に合わないから!
体操着でやる!」
と母に背を向け教室に戻った
でも母のあの悲しそうな顔
『 やっちゃったよ、、』
すぐに後悔した
後ろを振り返ると
辞書の入った重い紙袋を持って歩く
肩を落とした母の後ろ姿が遠くにあった
追いかけようとしたけれど
授業のベルが鳴って
すぐに謝ることが出来なかった
その日は
劇よりも母にやってしまったことを
ずっと後悔して
劇どころではなく
悲しい気持ちでいっぱいだった
この思い出は
悲しい思い出だけれど
母が「いしょう」を「じしょ」に
聞き間違えたのは母らしくもあり
しかも、どの辞書だかわからず
家中にある辞書を全部持ってきた母(笑)
(兄の辞書も入ってた)
なので
タイトルは "おもしろ" にしました
あの時は本当にごめんなさい!